📻 ラジオドラマ風・80年代カー談義
「ターボとハイソの夜」
ナレーション
同窓会の二次会。
誰かの知合いの店だという横浜の小さなバー
カウンターとテーブル席が二つの小さな店
店内には僕らに気を使ってか
どこか懐かしいシティ・ポップが小さく流れている
カウンターでは十数年ぶりに再会した二人の男が
静かにグラスを傾けていた。
■ Scene【SE:バーの扉が開く音。グラスの触れ合う音。】
【SE:前の曲が終わりの次の曲の特徴あるイントロが聴こえる】
ター坊(たーぼう)
「ん……なあ島。
この曲、よく聴いてたよな。」
島(しま)
「そうそう。
免許取り立ておニューの新車の車内でいつも聴いてた。
なんか、ノリノリで(^ ^)。」
ナレーション
その一言をきっかけに、
二人の会話は自然と“あの頃”へと戻っていく。
――流れているシティ・ポップの向こう側に、
カーステのカセットで何度も巻き戻して聴いた、
あの曲の記憶がフッとよみがえった。
ター坊
「なあ島……
これ、思い出すよな。
夜の国道でさ、カセットで同じ曲ばっかし
オートリバースで流して走ってたじゃん。」
島
「流した流した。
お前のスターレットのターボ、あの曲のサビに合わせて
“プシューッ”って(タービンが)鳴ってさ。
あれまじでいかしてた。」
ター坊
「お前のソアラだっての室内灯つけて見せてくれた車内
“ほら、これがハイソだぞ”って自慢をシカト
してたけどまじスッゲーって思ってたんだ。」
島
「やっぱし、あの頃の俺らにとっては、
車が“部屋”みたいなもんだったじゃん。
くうねるあそぶ、全部車の中で完結してた。」
■ Scene:ターボ vs ハイソ、火がつく
島
「俺はさ、やっぱ“ハイソ”に憧れてたんだよ。
ソアラの“ハイソサエティ・カー”ってコピー
あのコピー、バッチグーだっただろ?」
ター坊
「いんや、島、あの頃はターボだろ、ターボ!
スカイラインRSターボCの“史上最強のスカイライン”。
あのFJ20ターボの音、まじでヤッベーって。」
島
「音だけじゃ24時間働けねーんだよ。
内装の質感、デジタルメーター、
“お元気ですか”の時代トレンディの余裕。
あれが大人の車ってやつよ。」
ター坊
「余裕って…それはチョッピししょぼいって。
ローン組んで背伸びしてただけじゃん。」
島
「うっせーよ、お互いサマーだろ。」
ター坊
「でもさ、トヨタも日産もホンダも、
あの頃はおモロかったよな。
CMのコピーが“かっ飛びスターレット”だよ、
あれ見てワックワクしなかった?」
島
「したした! あれは本気(まじ)でいかしてた。
ホンダなんて“ホンダホンダホンダ”だぜ?」
ナレーション
島は両腕をカケッコの時のようにブンッブンッと降った
ター坊がシラケた目でこちらを観ている
島
「⋯⋯モトコンポも遊び心もあったよな。」
■ Scene:メーカー愛が止まらない
ター坊
「トヨタはターボで攻めて、
日産はハイソで攻めて、
ホンダは奇抜さで攻めて…
あの三つ巴の絶好調で止まる暇なかったよな。」
島
「マジそれ。
でもよ、アメリカの排ガス規制とか、不買運動とか、
あれワケワカメだったよな。」
ター坊
「それでも日本車はネバーギブアップ!立ち直ったんだよ。
電子制御ターボ、4WD、静粛性…
あの進化スピード、まじで“韋駄天”だった。」
島
「セルシオとかGT-Rとか、
あれはもう世界にタイマン張ってたよな。」
■ Scene:昴(スバル)くん登場
【SE:カウンターに近づく足音】
昴(スバル)くん
「すみませーん、カクテル“レガシィ”ひとつ。」
【SE:シェイカーの音】
昴
「……あ、島さん、ター坊さん。
さっきから聴いてましたけど、
ターボもハイソも、どっちもいいとこあるじゃないですか。」
島・ター坊
「え?」
昴
「走りと快適さ。
両方取り入れればいいんですよ。
うち(スバル)なんて、そのへん得意ですし。」
【SE:軽く笑ってテーブルへ戻る】
■ Scene:二人の答え
島
「……」
ター坊
「……」
ナレーション
【二人は同時に顔を見合わせた】
「だよね〜!」エコーが掛かって声店内に響く
ナレーション
昴が注文した“レガシィ”という名のカクテル。
それは、80年代が終わり、
90年代に入って流行り始める
“いいとこ取りのステーションワゴン”の象徴でもあった。
誰かがマイクをもって歌い始める
モニターに表示された曲名は
ーー「DA.YO.NE」ーー
■ 追記
🚗 ターボ(Turbo)とは
- 排気ガスの力でタービンを回し、空気をエンジンに強制的に送り込む装置。
- 多くの空気を燃やせるので、小排気量でも大きなパワーを出せる。
- 80年代は「速さの象徴」として若者に大人気。
- 加速時の“プシューッ”というブローオフ音が魅力のひとつ。
- 日産FJ20ターボや三菱4G63ターボが代表的存在。
🚘 ハイソサエティ(High Society)とは
- 80年代に広がった「上質・高級志向」の車文化。
- 本革シート、デジタルメーター、高級オーディオなど“豪華装備”が売り。
- CMコピー「ハイソサエティ・カー」が象徴的。
- 走りより“快適さ・ステータス”を重視した大人の車。
- トヨタ ソアラやマークII三兄弟が代表格。
ラジオドラマ風・80年代カー談義「ターボとハイソの夜」
楽しんで頂けましたか、それではまたシティ・ポップが流れる夜に。


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